テクニカル分析の基本(移動平均線、MACDなど)を初心者向けに徹底解説

FX 基礎知識

「テクニカル分析」と聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。しかし、株やFX、仮想通貨といった投資の世界では、切っても切り離せない重要なスキルです。

この記事では、投資を始めたばかりの初心者でも、テクニカル分析の基本をしっかりと理解できるよう、移動平均線やMACDといった代表的な指標を徹底的に解説します。

チャートの見方から、実践的な活用法、そして初心者が陥りがちな落とし穴まで、プロの視点から分かりやすくご紹介します。この記事を読めば、相場の波を読み解くための第一歩を踏み出せるはずです。


【この記事で分かること】

  • テクニカル分析の基本的な考え方と、移動平均線・MACDの役割
  • 投資初心者がまず学ぶべきテクニカル指標とその特徴
  • 移動平均線とMACDを組み合わせた分析方法
  • テクニカル分析を実践する上での注意点と失敗を避けるためのポイント

  1. テクニカル分析の基本を理解するための第一歩
    1. テクニカル分析とは?移動平均線・MACDの役割を簡単に解説
    2. 初心者が最初に学ぶべきテクニカル指標の特徴
    3. 移動平均線の基本の見方と相場の方向性を掴むコツ
    4. MACDを使ったトレンド転換のシグナル確認方法
    5. 移動平均線とMACDを組み合わせたシンプルな分析例
      1. 分析のステップ
    6. テクニカル分析の基本で失敗しやすい初心者の落とし穴
      1. 失敗しやすい落とし穴
    7. ファンダメンタル分析との違いを知っておくことの重要性
  2. 実践で使えるテクニカル分析(移動平均線・MACDなど)の活用法
    1. 短期投資と長期投資で移動平均線を使い分ける方法
      1. 短期投資(スイングトレード・デイトレード)の場合
      2. 長期投資の場合
    2. MACDヒストグラムを利用した売買タイミングの見極め
      1. 売買タイミングの見極め方
      2. ダイバージェンス(逆行現象)の活用
    3. 移動平均線クロスでエントリーとエグジットを判断するコツ
      1. エントリー判断のコツ
      2. エグジット判断のコツ
    4. ダマシを避けるために知っておきたい確認ポイント
      1. ダマシの回避の確認ポイント
    5. テクニカル分析ツールを使う際の設定とおすすめアプリ
      1. テクニカル分析ツールの基本設定
      2. おすすめのテクニカル分析アプリ
    6. 実際のチャート例で解説する移動平均線とMACDの応用
      1. チャートの動きと分析
    7. テクニカル分析の基本(移動平均線、MACDなど)を活かすコツ【まとめ】

テクニカル分析の基本を理解するための第一歩

投資の世界には、企業の業績や経済状況を分析する「ファンダメンタル分析」と、過去の値動きから未来を予測する「テクニカル分析」の二つの大きな柱があります。

特に、日々の値動きを読み解く上で欠かせないのがテクニカル分析です。ここでは、その基本概念から、代表的な指標である移動平均線やMACDについて、初心者にも理解しやすいように解説していきます。

テクニカル分析とは?移動平均線・MACDの役割を簡単に解説

テクニカル分析とは、過去の株価や為替、出来高などのデータ(チャート)を分析することで、将来の価格を予測する手法のことです。 株価がなぜその動きをしているのか、という理由を深掘りするファンダメンタル分析とは異なり、「チャートがすべてを語る」という考え方が根底にあります。

過去の傾向は繰り返されるという前提に基づき、パターンやトレンドを見つけ出すことが目的です。 チャートに描かれる線やグラフは、投資家たちの心理の集合体であり、その動きを読み解くことで、次にどのような行動をとるべきかのヒントを得ることができます。

特に、投資初心者にとって最初に学ぶべき指標としてよく挙げられるのが「移動平均線」と「MACD」です。

移動平均線は、一定期間の終値の平均値を結んだ線で、相場のトレンドを視覚的に捉えるのに非常に役立ちます。 例えば、5日間の平均値を計算する5日移動平均線は、直近の短期的なトレンドを示し、25日移動平均線や75日移動平均線は、中期・長期的なトレンドを示します。

移動平均線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンドと判断できるため、相場の方向性を一目で確認できるのが最大の魅力です。

また、異なる期間の移動平均線が交差する「ゴールデンクロス」(短期線が長期線を下から上に抜ける)や「デッドクロス」(短期線が長期線を上から下に抜ける)は、強力な売買シグナルとして多くの投資家に活用されています。

一方、MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、「移動平均収束拡散」と訳され、短期と長期の移動平均線の差から、相場の勢いやトレンドの転換点を読み取るためのオシレーター系の指標です。 MACDは、「MACD線」と「シグナル線」の2本の線と、「ヒストグラム」と呼ばれる棒グラフで構成されています。

MACD線とシグナル線のクロスも売買シグナルとして機能し、MACD線がシグナル線を上抜けると買い、下抜けると売りと判断するのが一般的です。 また、MACDヒストグラムは、MACD線とシグナル線の乖離(差)を示しており、ヒストグラムがゼロラインより上にあり、山の大きさが大きくなっていれば上昇の勢いが強いことを示唆します。

これらの指標は、シンプルでありながらも相場の全体像を把握する上で非常に有用です。 投資の旅路を始めるにあたり、まずこれらの指標の基本的な見方をマスターすることが、成功への第一歩となるでしょう。

参照元:日本証券業協会「投資家教育教材」

初心者が最初に学ぶべきテクニカル指標の特徴

投資の世界には無数のテクニカル指標が存在しますが、初心者がいきなりすべてを学ぶのは非効率的であり、混乱のもとになります。 だからこそ、最初に学ぶべき指標を絞り込み、その特徴を深く理解することが重要です。

ここでは、移動平均線とMACD、そしてもう一つ、初心者におすすめしたい「RSI」について、その特徴を比較しながら解説します。


移動平均線

移動平均線は、トレンドを把握するための最も基本的な指標です。 株価の平均値を線で示してくれるため、株価が移動平均線より上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドというように、直感的に相場の方向性を判断できます。

複数の期間の移動平均線を同時に表示させると、短期的なトレンドと長期的なトレンドの関係性も把握できるため、相場の全体像を掴むのに役立ちます。 「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」といった明確な売買シグナルがあることも、初心者にとって分かりやすいポイントです。


MACD

MACDは、移動平均線を発展させた指標で、相場の勢い(モメンタム)を測るのに適しています。 MACD線とシグナル線のクロスや、ヒストグラムの動きを見ることで、トレンドの強弱や転換点を早期に察知することが可能です。

特に、MACDはトレンド相場で非常に有効な指標とされています。 移動平均線が示すトレンドの方向性に加え、MACDでそのトレンドの勢いを確認することで、より精度の高い分析が可能になります。


RSI(Relative Strength Index)

RSIは、買われすぎか売られすぎかを判断するのに役立つオシレーター系の指標です。 0から100の範囲で推移し、一般的に70以上で「買われすぎ」、30以下で「売られすぎ」と判断されます。 RSIは、トレンドが出ていないレンジ相場で特に有効で、相場の転換点を予測するのに役立ちます。

しかし、強いトレンドが出ている時には、RSIが買われすぎや売られすぎの水準にとどまり続けることがあるため、他の指標と組み合わせて使うことが重要です。

指標名分類主な用途初心者への適性
移動平均線トレンド系トレンドの方向性把握、売買シグナル
MACDオシレーター系トレンドの勢い、転換点
RSIオシレーター系買われすぎ・売られすぎ

これらの指標をバランス良く使いこなすことが、テクニカル分析の第一歩です。 まずは移動平均線で相場の大きな流れを掴み、MACDやRSIで売買のタイミングを測る、といったシンプルな使い方から始めてみましょう。

参照元:日本FP協会「金融商品と投資の基礎知識」

移動平均線の基本の見方と相場の方向性を掴むコツ

移動平均線は、テクニカル分析の基本中の基本であり、これなしにチャートを語ることはできません。 移動平均線の見方をマスターすれば、相場の大きな流れを簡単に掴むことができ、投資判断の精度が格段に向上します。

ここでは、移動平均線の最も基本的な見方と、相場の方向性を判断するためのコツを解説します。

移動平均線は、一定期間の終値の平均値を毎日プロットし、線で結んだものです。 例えば、5日移動平均線は、直近5日間の株価の平均値を示しています。 この期間が長くなるほど、線の動きは滑らかになり、短期的なノイズに左右されにくくなります。

移動平均線の基本的な見方は、以下の3つのポイントに集約されます。


移動平均線の向き

移動平均線が上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドと判断できます。 横ばいであれば、トレンドがないレンジ相場である可能性が高いです。


株価と移動平均線の位置関係

株価が移動平均線の上にあれば、相場は強いと判断でき、移動平均線が株価のサポートライン(下値支持線)として機能している可能性があります。

逆に、株価が移動平均線の下にあれば、相場は弱いと判断でき、移動平均線がレジスタンスライン(上値抵抗線)として機能している可能性があります。

株価が移動平均線を下から上に突き抜けることを「上抜け」、上から下に突き抜けることを「下抜け」と呼び、それぞれトレンドの転換を示すシグナルとなります。


ゴールデンクロスとデッドクロス

異なる期間の移動平均線が交差するポイントは、トレンドの大きな転換点を示す強力なシグナルです。 短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けることを「ゴールデンクロス」といい、強い上昇トレンドへの転換を示す買いシグナルとして知られています。

逆に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けることを「デッドクロス」といい、強い下降トレンドへの転換を示す売りシグナルとして知られています。


移動平均線は、トレンドの方向性を一目で把握できる非常に強力なツールですが、欠点もあります。 それは、過去のデータを基にしているため、未来を完璧に予測できるわけではないということです。 相場の急な変動には対応が遅れることがあるため、他の指標と組み合わせて使うことが重要です。

また、期間設定によって線の動きは大きく変わるため、自分の投資スタイルに合った期間を見つけることが大切です。 例えば、短期売買なら5日や25日、長期投資なら75日や200日といった期間設定が一般的です。

参照元:日本経済新聞「テクニカル分析入門」

MACDを使ったトレンド転換のシグナル確認方法

MACDは、移動平均線よりもさらに一歩進んだ分析を可能にする指標です。 MACDは、トレンドの勢いや転換点を早期に捉えるのに非常に有効であり、多くのプロトレーダーが活用しています。 ここでは、MACDの構成要素と、それらを使ってトレンド転換のシグナルを確認する方法を具体的に解説します。

MACDは、以下の3つの要素で構成されています。

  • MACD線
    短期EMA(Exponential Moving Average:指数平滑移動平均線)から長期EMAを引いた線
  • シグナル線
    MACD線を一定期間(通常は9日)で移動平均化した線
  • MACDヒストグラム
    MACD線とシグナル線の差を棒グラフで示したもの

これらの要素の動きを見ることで、相場の状況を多角的に分析できます。


MACD線とシグナル線のクロス

MACDの最も基本的な使い方であり、最も強力な売買シグナルの一つです。 MACD線がシグナル線を下から上に抜けることを「ゴールデンクロス」といい、上昇トレンドへの転換を示す買いシグナルとして機能します。

逆に、MACD線がシグナル線を上から下に抜けることを「デッドクロス」といい、下降トレンドへの転換を示す売りシグナルとして機能します。 このクロスは、トレンドの転換点を比較的に早期に察知できるため、多くの投資家が注目しています。


MACDヒストグラムの活用

MACDヒストグラムは、MACD線とシグナル線の乖離(差)を示しているため、トレンドの勢いを視覚的に把握するのに非常に役立ちます。 MACDヒストグラムがゼロラインより上にあり、山の大きさが大きくなっていれば、上昇の勢いが強いことを示します。

逆に、ゼロラインより下にあり、谷の大きさが大きくなっていれば、下降の勢いが強いことを示します。 特に、MACDヒストグラムの山や谷が、株価の高値や安値と逆行する「ダイバージェンス」と呼ばれる現象は、トレンドの転換が近いことを示唆する強力なシグナルとなります。

例えば、株価が高値を更新しているにもかかわらず、MACDヒストグラムの山の高さが前回よりも低くなっている場合、上昇の勢いが弱まっていることを示唆し、トレンド転換に注意が必要です。


MACDは、トレンド相場では非常に有効ですが、トレンドがないレンジ相場では、頻繁にクロスが発生して「ダマシ」が多くなる傾向があります。 そのため、移動平均線やボリンジャーバンドなど、他のトレンド系指標と組み合わせて使うことが、より精度の高い分析を行う上で重要です。

参照元:三菱UFJ信託銀行「金融商品ガイドブック」


移動平均線とMACDを組み合わせたシンプルな分析例

テクニカル分析の真骨頂は、複数の指標を組み合わせて、多角的に相場を分析することにあります。 移動平均線とMACDは、それぞれ異なる役割を持つため、これらを組み合わせることで、より信頼性の高い売買判断が可能になります。

ここでは、移動平均線とMACDを組み合わせた、初心者でもすぐに実践できるシンプルな分析例を解説します。

分析のステップ

移動平均線で大局を把握

まず、長期(例:75日)と短期(例:25日)の移動平均線を表示させ、相場の大まかなトレンドを把握します。 短期移動平均線が長期移動平均線より上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドというように、まず全体の流れを確認します。


MACDで勢いと転換点を確認

次に、MACDを表示させ、現在のトレンドの勢いや転換の兆候がないかを確認します。 上昇トレンドであれば、MACD線がシグナル線の上にあり、ヒストグラムがゼロラインの上で推移しているかを確認します。

もし、ヒストグラムの山の高さが小さくなってきたら、上昇の勢いが弱まっている可能性があるため、注意が必要です。


売買シグナルの確認と組み合わせ

具体的な売買のタイミングを判断する際には、両方の指標が示すシグナルが一致しているかを確認します。 例えば、移動平均線がゴールデンクロスを形成し、同時にMACD線もシグナル線を上抜ける「ゴールデンクロス」が発生した場合は、買いのシグナルの信頼性が非常に高まります。

逆に、移動平均線がデッドクロスを形成し、MACD線もシグナル線を下抜ける「デッドクロス」が発生した場合は、売りのシグナルの信頼性が高まります。


この組み合わせ分析は、シンプルながらも非常に強力です。 一つの指標だけでは「ダマシ」に遭いやすいですが、複数の指標が同じ方向性を示している場合、そのシグナルの信頼性は格段に向上します。

ただし、完璧な分析手法は存在しないため、常に損切りラインを設定しておくことが重要です。

参照元:マネックス証券「テクニカル分析の基礎」


テクニカル分析の基本で失敗しやすい初心者の落とし穴

テクニカル分析は、非常に強力なツールですが、使い方を間違えると大きな失敗につながることがあります。 特に、投資を始めたばかりの初心者は、いくつかの共通した落とし穴に陥りやすい傾向があります。 ここでは、プロの視点から見た、初心者が陥りがちな失敗と、それを回避するためのポイントを解説します。

失敗しやすい落とし穴

一つの指標だけで判断してしまう

移動平均線のゴールデンクロスが出たからといって、無条件に買いを入れるのは危険です。 一つの指標は、相場の一つの側面しか示していません。

先述したように、移動平均線でトレンドを把握し、MACDで勢いを確認するなど、複数の指標を組み合わせて多角的に分析することが不可欠です。


「ダマシ」に遭いやすい

テクニカル指標が示すシグナルが、結果的に機能しないことを「ダマシ」と呼びます。 特にレンジ相場では、頻繁に売買シグナルが発生し、それに従って売買すると損失を重ねてしまうことがあります。

「ダマシ」を避けるためには、長期的なトレンドを確認すること、そして出来高などの他の情報も参考にすることが重要です。


完璧な分析を求めすぎる

「もっと完璧な分析方法があるはずだ」と、次から次へと新しい指標を試したり、複雑な設定を試したりする初心者がいます。

しかし、テクニカル分析に「完璧な正解」は存在しません。 むしろ、シンプルで使い慣れた指標を深く理解し、その特性を活かすことの方が、長期的な成功につながります。


感情的な取引をしてしまう

テクニカル分析は、感情を排して客観的な判断を下すためのツールです。 しかし、チャートの動きに一喜一憂し、感情的に売買を繰り返してしまうと、せっかくの分析も意味がなくなってしまいます。

「損切り」をためらったり、「もっと利益を」と欲を出したりすることは、大きな失敗につながる原因となります。


これらの落とし穴を回避するためには、「シンプルなルールを徹底すること」が最も重要です。 「ゴールデンクロスが出たら買い、デッドクロスが出たら売る」というように、自分なりのルールを決め、それを徹底して守ることが、感情的な取引を避け、安定した投資を行うための鍵となります。

参照元:金融庁「投資の心構え」


ファンダメンタル分析との違いを知っておくことの重要性

投資の分析手法には、「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」の二つの大きな柱があることはすでに触れました。 これらは、どちらかが優れているというものではなく、それぞれ異なる役割を持ち、互いに補完し合う関係にあります。

テクニカル分析の基本を学ぶ上で、ファンダメンタル分析との違いを理解しておくことは、より広い視野で相場を捉えるために非常に重要です。

分析手法目的分析対象メリットデメリット
テクニカル分析過去の値動きから将来の価格を予測する株価、為替、出来高などのチャートデータ短期的な売買判断に適している、客観的「ダマシ」が多い、ファンダメンタル要因を考慮しない
ファンダメンタル分析企業や経済の価値から適正価格を算出する企業の財務状況、経済指標、政治情勢など長期的な投資判断に適している、企業の本質的価値が分かる情報収集に時間がかかる、短期的な値動きに弱い

ファンダメンタル分析とは?

ファンダメンタル分析とは、企業の本質的な価値を分析する手法です。 具体的には、企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)を読み解いたり、業績見通しや業界動向、さらには景気動向、政治情勢といったマクロ経済のデータを分析します。

「この会社の株価は、本来もっと高くなるはずだ」といったように、適正な価格を算出し、現在の株価と比較することで投資判断を行います。 長期的な視点での投資を考える際には、ファンダメンタル分析が欠かせません。


テクニカル分析とファンダメンタル分析の使い分け

短期的な取引を主とするデイトレーダーやスイングトレーダーは、テクニカル分析を主軸に売買判断を行うことが多いです。 日々の値動きは、テクニカル分析で読み解ける投資家心理が大きく影響するためです。

一方、長期的な資産形成を目指す投資家は、ファンダメンタル分析で投資する企業を選定し、その上でテクニカル分析を用いて「いつ買うか」のタイミングを測る、という使い方をすることが多いです。


どちらか一方に偏るのではなく、両方の分析手法の特性を理解し、自分の投資スタイルに合わせてバランス良く活用することが重要です。

テクニカル分析でトレンドや売買のタイミングを掴み、ファンダメンタル分析で投資対象の信頼性を確認する、といった組み合わせが、より安定した投資につながります。

参照元:野村證券「証券投資の基礎知識」

実践で使えるテクニカル分析(移動平均線・MACDなど)の活用法

テクニカル分析の基本を理解したところで、次は実際にどのように活用していくかが重要です。 机上の空論ではなく、実際の相場で役立つ実践的なテクニックを学ぶことで、あなたの投資スキルは飛躍的に向上します。

ここでは、移動平均線やMACDをより効果的に活用するための応用テクニックや、初心者が陥りがちな「ダマシ」を避けるためのポイントを解説します。


【以下で分かること】

  • 短期・長期投資における移動平均線の使い分け方
  • MACDヒストグラムのより深い活用方法
  • 移動平均線クロスをより精度の高いシグナルとして活用するコツ
  • テクニカル分析をサポートするツールやアプリの紹介

短期投資と長期投資で移動平均線を使い分ける方法

移動平均線は、期間の設定によってその役割が大きく変わります。 短期投資と長期投資では、相場を捉える視点が異なるため、それに合わせて移動平均線の期間も使い分けることが、より効果的な分析につながります。

ここでは、それぞれの投資スタイルに合わせた移動平均線の活用法を具体的に解説します。

短期投資(スイングトレード・デイトレード)の場合

短期投資では、数日から数週間の値動き、あるいは一日の値動きを追いかけることになります。 そのため、長期的なトレンドよりも、直近のトレンドや勢いを重視した分析が必要です。

一般的に、短期投資で使われることが多いのは、5日移動平均線、25日移動平均線、そして75日移動平均線です。

  • 5日移動平均線
    超短期的なトレンドを把握するのに適しています。 株価が5日移動平均線の上で推移している限りは上昇トレンド、下で推移している限りは下降トレンドと判断できます。
  • 25日移動平均線
    中期的なトレンドを把握するのに適しています。 短期線(5日線など)とのクロスを見ることで、短期的なトレンドの転換点を判断するのに役立ちます。
  • 75日移動平均線
    比較的長期的なトレンドを把握するのに適しています。 短期的なノイズに惑わされずに、相場の大きな流れを確認することができます。

短期投資では、これらの移動平均線を組み合わせて、トレンドの勢いや転換点を細かくチェックします。 例えば、「5日線が25日線を上抜けたタイミングでエントリーし、5日線が下抜けたタイミングでエグジットする」といったシンプルな戦略も有効です。

長期投資の場合

長期投資では、数ヶ月から数年のスパンで相場を分析します。 日々の細かい値動きに一喜一憂するのではなく、企業の成長性やマクロ経済の動向といったファンダメンタルズを重視し、その上で売買のタイミングを測るのが一般的です。

長期投資で使われることが多いのは、75日移動平均線、200日移動平均線、そして52週移動平均線などです。

  • 75日移動平均線
    中期的なトレンドの確認に役立ちます。 株価が75日移動平均線の上で安定して推移している銘柄は、比較的強い銘柄と判断できます。
  • 200日移動平均線
    超長期的なトレンドを把握するのに適しています。 この線が上向きであれば、長期的に強い上昇トレンドが続いていることを示唆します。
  • 52週移動平均線
    週足チャートで利用されることが多く、より長期的なトレンドを把握するのに有効です。

長期投資では、ファンダメンタル分析で選定した銘柄の株価が、長期移動平均線より下にあるときに購入する、といった逆張り戦略も有効です。 移動平均線の期間設定は、自分の投資スタイルと分析したい期間に合わせて柔軟に調整することが重要です。

参照元:日本取引所グループ「テクニカル分析」

MACDヒストグラムを利用した売買タイミングの見極め

MACDのヒストグラムは、MACD線とシグナル線の乖離(差)を示しているため、トレンドの勢いを視覚的に把握する上で非常に優れたツールです。 単にMACD線とシグナル線のクロスだけを見ていては気づかない、より繊細な相場の変化を読み解くことができます。

ここでは、MACDヒストグラムをさらに深く活用した売買タイミングの見極め方を紹介します。

MACDヒストグラムの基本

MACDヒストグラムは、ゼロラインを挟んで上下に伸びる棒グラフです。 ゼロラインより上にヒストグラムがあれば上昇の勢いが強く、下にヒストグラムがあれば下降の勢いが強いことを示します。 また、ヒストグラムの棒が長ければ長いほど、トレンドの勢いが強いことを示唆します。

売買タイミングの見極め方

ヒストグラムの山と谷が小さくなる時

上昇トレンド中に、MACDヒストグラムの山の高さが前回よりも小さくなってきた場合、それは上昇の勢いが弱まっていることを示唆します。 これは、トレンド転換の兆候であり、利確(利益確定)を検討する良いタイミングかもしれません。

逆に、下降トレンド中に、ヒストグラムの谷の深さが浅くなってきた場合、下降の勢いが弱まっていることを示唆し、トレンド転換からの反発を期待できる可能性があります。


ゼロラインクロス

MACDヒストグラムがゼロラインを上抜ける(プラスになる)ことは、MACD線がシグナル線を上抜け、上昇トレンドに入ったことを意味します。

これは、強力な買いシグナルとして機能します。 逆に、ゼロラインを下抜ける(マイナスになる)ことは、下降トレンドに入ったことを意味し、売りシグナルとなります。

ダイバージェンス(逆行現象)の活用

ダイバージェンスは、株価の動きとMACDヒストグラムの動きが逆行する現象で、トレンド転換の強力なサインです。

例1:弱気ダイバージェンス
株価が高値を更新しているにもかかわらず、MACDヒストグラムの山の高さが低くなっている場合、これは上昇の勢いが弱まっていることを示唆し、トレンド転換からの下落に注意が必要です。

例2:強気ダイバージェンス
株価が安値を更新しているにもかかわらず、MACDヒストグラムの谷の深さが浅くなっている場合、これは下降の勢いが弱まっていることを示唆し、トレンド転換からの上昇に期待が持てます。


MACDヒストグラムを駆使することで、MACD線とシグナル線のクロスよりも早くトレンドの変化を察知できる可能性があります。 特にダイバージェンスは、プロのトレーダーも注視する重要なシグナルであり、ぜひマスターしていただきたいテクニックです。

参照元:楽天証券「MACDについて」


移動平均線クロスでエントリーとエグジットを判断するコツ

移動平均線のクロスは、テクニカル分析の中でも最もポピュラーな売買シグナルの一つです。 しかし、単純にクロスしたからといって飛びついてしまうと、前述の「ダマシ」に遭うリスクが高まります。

ここでは、移動平均線クロスをより信頼性の高いシグナルとして活用し、効果的なエントリー(買い)とエグジット(売り)のタイミングを判断するためのコツを解説します。

エントリー判断のコツ

移動平均線のゴールデンクロスは、一般的に買いシグナルとして機能します。 しかし、このシグナルがより信頼性が高くなるのは、以下の条件が揃っている時です。

クロス発生時の株価の位置:

ゴールデンクロスが長期移動平均線より上で発生している場合、すでに上昇トレンドに入っている可能性が高いため、さらに強い上昇が期待できることがあります。 逆に、長期移動平均線より下で発生している場合は、トレンドがまだ弱く、ダマシになる可能性も考慮する必要があります。


移動平均線の角度

クロスした後の短期・長期移動平均線が、どちらも上向きに勢いよく伸びている場合、強い上昇トレンドが形成されていることを示唆します。 もし、線が横ばいで推移している場合、トレンドの勢いが弱く、ダマシになる可能性が高まります。


出来高の増加

ゴールデンクロス発生時に、出来高が急増している場合、多くの投資家が買いに動いていることを示唆するため、シグナルの信頼性が高まります。 逆に、出来高が少ない場合は、一部の投資家による動きである可能性があり、ダマシに注意が必要です。

エグジット判断のコツ

利益確定(利確)や損切り(損切り)といったエグジットのタイミングも、移動平均線のクロスで判断できます。 デッドクロスは、一般的に売りシグナルとして機能します。

デッドクロスでの利確

上昇トレンド中に、短期移動平均線が長期移動平均線を下抜けするデッドクロスが発生した場合、トレンド転換の兆候と捉え、利益を確定する良いタイミングとなります。


損切りラインとしての活用

移動平均線を損切りラインとして設定する方法も有効です。 例えば、短期移動平均線が下向きに転じたり、株価が短期移動平均線を下抜けたりした場合に、ポジションを決済する、といったルールを設けることで、損失の拡大を防ぐことができます。


移動平均線クロスは、それだけで売買判断を行うのではなく、あくまで一つのシグナルとして捉え、他の指標や出来高、そして相場全体の状況を総合的に判断することが重要です。

参照元:SMBC日興証券「投資情報」

ダマシを避けるために知っておきたい確認ポイント

テクニカル分析において、最も投資家を悩ませるのが「ダマシ」です。 明確な買いシグナルが出たと思ってエントリーしたら、すぐに逆行して損失を出してしまう。 この経験は、多くの投資家が通る道です。 しかし、いくつかのポイントを押さえることで、ダマシに遭う確率を減らすことができます。 ここでは、ダマシを避けるために必ず確認しておきたいポイントを解説します。

ダマシの回避の確認ポイント

長期的なトレンドとの一致を確認する

短期的な売買シグナルが、長期的なトレンドと逆行している場合、それはダマシである可能性が高いです。 例えば、長期移動平均線が下降トレンドを示している中で、短期的なゴールデンクロスが発生した場合、それは一時的な反発である可能性が高く、再び下降トレンドに戻るリスクを考慮する必要があります。

「トレンドに逆らうな」という相場の格言があるように、大きな流れに沿った取引を心がけることが重要です。


出来高の確認

出来高は、その取引がどれだけ多くの投資家によって行われているかを示す指標です。 強力な売買シグナルが出た際に、出来高も急増している場合、多くの投資家がその動きに賛同していることを意味するため、シグナルの信頼性が高まります。

逆に、出来高を伴わないシグナルは、一部の投資家による動きである可能性が高く、ダマシのリスクが高まります。


複数の時間軸での確認

例えば、日足チャートで買いシグナルが出たからといってすぐにエントリーするのではなく、週足や月足といった長期的な時間軸のチャートも確認することが重要です。

日足チャートでは上昇トレンドに見えても、週足チャートでは下降トレンドの途中に過ぎない、といったことはよくあります。 複数の時間軸で同じ方向性を示している場合、シグナルの信頼性は飛躍的に向上します。


他の指標との組み合わせ

移動平均線だけでなく、MACDやRSIなど、複数の異なる種類の指標を組み合わせて分析することもダマシを避ける上で有効です。

例えば、「移動平均線がゴールデンクロスを形成し、かつMACDのヒストグラムもゼロラインを上抜けている」といったように、複数の指標が同じ方向性を示している場合、より確信を持って取引に臨めます。


ダマシは、完全に避けることはできません。 しかし、上記のポイントを常に意識することで、無駄な取引を減らし、大切な資金を守ることができます。

また、どんなに分析をしても、予測が外れることはあります。 そのため、必ず損切りラインを設定しておくことが、最終的に資金を守るための最も重要なルールとなります。

参照元:日本FP協会「金融商品と投資の基礎知識」

テクニカル分析ツールを使う際の設定とおすすめアプリ

テクニカル分析を行う上で、チャートツールやアプリは欠かせません。 多くの証券会社が提供しているツールや、専門のチャートツール、スマートフォンアプリなど、様々な選択肢があります。 ここでは、ツールを使う際の基本的な設定方法と、初心者におすすめのアプリを紹介します。

テクニカル分析ツールの基本設定

多くのツールでは、様々なテクニカル指標をチャート上に表示させることができます。 初心者がまず設定すべきは、以下の3つです。

移動平均線

期間設定は、短期(例:5日、25日)、中期(例:75日)、長期(例:200日)の3本程度を設定しておくと、相場の全体像を掴みやすくなります。 線の色を短期・中期・長期で変えるなど、見やすくカスタマイズすることが大切です。


MACD

多くのツールでは、MACDの設定はデフォルト(12, 26, 9)で問題ありません。 MACD線、シグナル線、ヒストグラムがすべて表示されていることを確認しましょう。


RSI

こちらもデフォルト(期間14)で問題ありません。 買われすぎ(70)と売られすぎ(30)のラインが表示されていることを確認しましょう。

おすすめのテクニカル分析アプリ

最近では、高機能なチャート分析ができるスマートフォンアプリも増えており、場所を選ばずにチャートを確認できるようになりました。

TradingView(トレーディングビュー)

無料で使える高機能なチャートツールとして、世界中のプロトレーダーから初心者まで幅広く利用されています。

パソコン版はもちろん、スマートフォンアプリも非常に使いやすく、ほぼすべてのテクニカル指標に対応しています。無料で利用できる範囲でも十分な機能があり、まずはこれを使ってみることをおすすめします。

参照元:TradingView公式サイト


各証券会社の提供アプリ

多くの証券会社が、独自の高機能なチャート分析アプリを提供しています。 自分の取引している証券会社のアプリであれば、口座連携もスムーズで、取引から分析までを一貫して行えるのがメリットです。 例えば、SBI証券の「HYPER SBI」や楽天証券の「iSPEED」などが有名です。


MetaTrader 4/5(MT4/MT5)

FXや仮想通貨の取引で広く使われているチャートツールです。 非常に高機能で、カスタマイズ性が高く、自動売買プログラムを組み込むことも可能です。 最初は少し難しく感じるかもしれませんが、FXや仮想通貨を本格的に学ぶなら、ぜひ使ってみることをおすすめします

参照元:MetaQuotes Software Corp.公式サイト


これらのツールを使いこなし、自分なりの分析環境を整えることが、安定した投資活動を行う上で非常に重要になります。

実際のチャート例で解説する移動平均線とMACDの応用

これまでの解説を、実際のチャートを使ってより具体的にイメージしてみましょう。 ここでは、架空の銘柄のチャートを例に、移動平均線とMACDを組み合わせてどのように分析し、売買判断を下すかを解説します。

チャート例 (※架空のチャートを想定して以下の文章を執筆しています)

  • 期間設定: 日足チャート
  • テクニカル指標: 5日移動平均線(緑)、25日移動平均線(赤)、MACD、MACDヒストグラム

チャートの動きと分析

上昇トレンドの始まり

チャートは下降トレンドから始まりましたが、ある時点で株価が5日移動平均線を上抜けました。 その後、5日線が25日線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」が発生しました。 同時に、MACD線がシグナル線を上抜き、MACDヒストグラムもゼロラインより上に伸び始めました。

これらのシグナルが一致しているため、強い上昇トレンドが始まったと判断し、このタイミングで買いエントリーを検討できます。


上昇トレンドの継続

株価は5日移動平均線の上を安定して推移し、5日線と25日線もともに上向きに伸びています。 MACDヒストグラムの山も、大きくなったり小さくなったりしながらも、ゼロラインより上で推移し続けています。

これは、上昇の勢いが継続していることを示唆しており、ポジションを保有し続ける判断ができます。 一時的に株価が5日線を下回ることがあっても、25日線がサポートラインとして機能している限りは、トレンドは継続していると判断できます。


トレンドの終焉と転換の兆候

株価が高値を更新するも、MACDヒストグラムの山の高さが前回よりも低くなりました(弱気ダイバージェンス)。 これは、上昇の勢いが弱まっていることを示唆する強力なシグナルです。 その後、株価が5日線と25日線の両方を下抜け、5日線が25日線を上から下に突き抜ける「デッドクロス」が発生しました。

同時に、MACD線もシグナル線を下抜き、MACDヒストグラムもゼロラインより下に転じました。 これらのシグナルが一致しているため、上昇トレンドが終わり、下降トレンドへの転換が近いと判断し、このタイミングで利益確定(利確)を検討できます。


このように、複数の指標を組み合わせることで、一つのシグナルだけでは気づけない相場の微妙な変化を捉えることができます。 特に、ダイバージェンスのような重要なシグナルは、MACDヒストグラムを見る習慣をつけることで発見しやすくなります。

参照元:楽天証券「実際のチャートで見るテクニカル分析」

テクニカル分析の基本(移動平均線、MACDなど)を活かすコツ【まとめ】

ここまで、テクニカル分析の基本から応用までを解説してきました。 最後に、テクニカル分析を実際の投資で活かすための重要なポイントを10個にまとめます。 これらのポイントを意識することで、あなたの投資判断はより洗練され、安定した成果につながるはずです。

  • シンプルな指標から始める
    まずは移動平均線とMACDの2つをマスターすることから始めましょう。
  • 複数の指標を組み合わせる
    一つの指標に頼らず、異なる種類の指標を組み合わせて多角的に分析します。
  • トレンドを第一に考える
    移動平均線で長期的なトレンドを把握し、それに逆らわない取引を心がけます。
  • 「ダマシ」に注意する
    出来高や他の時間軸のチャートも確認し、シグナルの信頼性を高めます。
  • ルールを決めて徹底する
    感情的な取引を避けるため、エントリーやエグジットのルールを事前に決めておきましょう。
  • 損切りラインを必ず設定する
    予測が外れた場合に備え、損失を限定するための損切りラインを必ず設定します。
  • 資金管理を徹底する
    一つの銘柄に全資金を投じるのではなく、分散投資を心がけましょう。
  • ファンダメンタル分析も学ぶ
    長期的な投資判断のためには、ファンダメンタル分析の視点も持つことが重要です。
  • ツールやアプリを使いこなす
    高機能なチャートツールを使い、自分なりの分析環境を整えます。
  • 継続して学習する
    相場は常に変化します。 新しい知識を取り入れ、経験を積み重ねていくことで、スキルは向上していきます。
XMTrading(エックスエム)

私が現在、利用している証券会社はXMTradingです。XMTradingの特徴は以下の通りです。

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