海外FXの自動売買が怖いと言われる理由|EAで口座を溶かさないためのチェックリスト

海外FX基礎知識

「海外FXの自動売買(EA)は、一晩で資金がゼロになる」という噂を聞いて、 不安を感じている方は少なくありません。 確かに、SNSでは「口座が溶けた」という悲鳴が絶えませんが、 その一方で、安定して資産を増やし続けているプロも存在します。

本記事では、業界で長年執筆を続けてきた私が、自動売買が「怖い」とされる真の原因を突き止め、 あなたが大切な資金を失わないための具体的な「防衛策」を徹底的に解説します。 初心者から経験者まで、リスクをコントロールして勝ち残るためのバイブルとして活用してください。


【この記事で分かること】

  • EAが「危険」と検索される背景と業界の闇
  • 口座を溶かす人に共通する「3つの致命的NG行動」
  • ハイレバレッジとナンピンEAが破綻する数学的根拠
  • 資金を守り抜くための「プロ仕様」のチェックリスト

  1. 海外FXの自動売買(EA)が怖いと言われる本当の理由
    1. 海外FXの自動売買が「危険」「怖い」と検索される背景
      1. 投資詐欺や粗悪なツールの横行
      2. SNSによる誤った情報の拡散
    2. EAで口座を溶かす人に共通する典型パターン
      1. プロスペクト理論という罠
      2. 複利の魔力と誤解
    3. 海外FXと国内FXで自動売買のリスクが違う理由
      1. 追証の有無が運用の大胆さを変える
      2. 約定方式の不透明性
    4. ハイレバレッジEAが破綻しやすい仕組み
      1. 証拠金維持率の急落
      2. ボーナスに依存した無理な設定
    5. ナンピン・マーチンEAが特に危険と言われる理由
      1. 「破綻」か「爆益」かの二択
      2. 利益の全損リスク
    6. バックテストとリアル運用が一致しない落とし穴
      1. ヒストリカルデータの信頼性
      2. スリッページの無視
    7. EA任せで裁量を放棄すると失敗しやすい理由
      1. 市場の構造変化への無対応
      2. リスクシナリオの想定不足
  2. EAで口座を溶かさないために必ず確認すべきチェックポイント
    1. 海外FXの自動売買で安全なEAを見極める基準
      1. 稼働期間の重要性
      2. トレード頻度と期待値
    2. ロット設定と最大ドローダウンの正しい考え方
      1. 余裕を持った証拠金維持率
      2. ドローダウンの「最大値」は更新される
    3. 複数EA運用が逆にリスクを高めるケース
      1. 証拠金の共食い現象
      2. 管理コストの増大
    4. VPS環境と回線トラブルがEAに与える影響
      1. メモリ不足によるMT4の停止
      2. サーバーメンテナンスの把握
    5. デモ口座とリアル口座で必ず検証すべき項目
      1. スリッページの発生頻度
      2. 精神的なストレスの確認
    6. EAを止める判断が遅れると致命傷になる理由
      1. 停止ルールの事前言語化
      2. 外部要因による強制停止
    7. 海外FX 自動売買が怖いと感じた人向けの最終チェックリスト【まとめ】

海外FXの自動売買(EA)が怖いと言われる本当の理由

自動売買そのものは、感情を排除してシステム通りにトレードを行う合理的な手段です。 しかし、海外FXという環境と組み合わせることで、リスクが爆発的に高まる側面があります。 初心者が「勝てる」という言葉だけを信じて飛び込むと、 相場の急変動に対応できず、文字通り「一瞬」で資金が尽きてしまうのです。 ここでは、まずその恐怖の根源がどこにあるのかを深掘りしていきましょう。

海外FXの自動売買が「危険」「怖い」と検索される背景

インターネットで「海外FX 自動売買」と検索すると、サジェストに「危険」「詐欺」「怖い」といったネガティブな言葉が並びます。 これは、過去に粗悪なEAを高額で販売する業者が横行したことや、 海外FX特有の「ハイレバレッジ」を悪用した無理な運用で破綻する人が後を絶たないからです。

特にSNS上では、収益のスクリーンショットだけを加工して見せ、 実際には含み損が膨大にあることを隠して勧誘する「アフィリエイター」が少なくありません。 こうした実態を知ったユーザーが警戒心を強めているのが現状です。

また、海外FX業者の多くは「ゼロカットシステム」を採用しているため、 追証(追加の支払い)が発生しないという安心感があります。 しかし、この安心感が逆に「全額失ってもいい」というギャンブル的なトレードを助長し、 結果として「口座を溶かす」という極端な結果を招きやすくなっています。

参照元:金融庁:無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください

投資詐欺や粗悪なツールの横行

残念ながら、自動売買の世界には「勝てないツール」を高額で売りつける業者が存在します。 「何もしなくても月利50%確定」といった過度な煽り文句は、 投資の常識から乖離しており、そのほとんどが数ヶ月以内に破綻する設計です。 こうした被害に遭った人々の口コミが、「怖い」というイメージを定着させています。

SNSによる誤った情報の拡散

Twitter(X)やInstagramで見かける「1日100万円の利益」といった投稿は、 多くの場合、ハイリスクな設定で行われた短期的な結果に過ぎません。 その裏で行われている多額の損失や、強制ロスカットの事実は表に出ないため、 真実を知らない初心者が同じ設定で運用し、破局を迎えるケースが後を絶ちません。

EAで口座を溶かす人に共通する典型パターン

口座を溶かしてしまう、つまり証拠金をすべて失ってしまう人には明確な共通点があります。 最も多いのが「自分のリスク許容度を超えたロット設定」です。 EAの販売ページに記載されている「月利100%」といった数字を鵜呑みにし、 本来必要な証拠金の半分以下で運用を始めてしまうパターンです。

次に多いのが「重要指標時の放置」です。 雇用統計や政策金利発表など、相場が大きく動く場面では、 どれほど優れたEAでもテクニカル分析が通用しなくなります。 プロのトレーダーはこうした場面でEAを停止させますが、 初心者は「寝ていても稼げる」という言葉を信じて放置し、一気に破綻します。

また、「含み損を耐えればいつか戻る」という根拠のない自信も命取りになります。 特にナンピン(価格が逆行した時に買い増す手法)を伴うEAの場合、 トレンドが一方的に継続した瞬間に、証拠金維持率が急低下して強制ロスカットを食らいます。

参照元:消費者庁:SNSを利用した儲け話に注意

特徴口座を溶かす人の行動成功する人の行動
ロット設定推奨以上のハイロット証拠金に対して余裕を持たせる
経済指標24時間365日放置重要指標前には手動で停止
EAの理解仕組みを知らずに使うロジックと苦手な相場を把握
資金管理利益をすべて複利に回すこまめに出金して原資を回収
メンタル損失を認めず稼働を強行損切りラインで冷静に停止

プロスペクト理論という罠

人間は「得をすること」よりも「損を避けること」に強い執着を持ちます。 これを心理学で「プロスペクト理論」と呼びます。 EAの運用において、含み損が出た時に「いつか戻るはず」と判断を先延ばしにするのは、 この心理的バイアスが原因であり、自動売買のメリットである「無感情なトレード」を、 自らの手で壊してしまう行為なのです。

複利の魔力と誤解

複利運用は資産を加速させる強力な武器ですが、負けた時も加速させます。 口座を溶かす人は、増えた証拠金に対してすぐにロットを上げますが、 ドローダウン(資産の減少)が起きた時のダメージを計算に入れていません。 一度の大きな負けで、複利で積み上げた利益がすべて消えるリスクを理解していません。

海外FXと国内FXで自動売買のリスクが違う理由

国内FXと海外FXでは、自動売買を運用する上での「土俵」が全く異なります。 最大の違いはレバレッジ制限です。国内FXは最大25倍に制限されていますが、 海外FXでは$500$倍から、業者によっては2000倍以上のレバレッジが可能です。

このハイレバレッジこそが、リスクを劇的に変える要因となります。 計算式で見ると分かりやすいでしょう。 必要証拠金 Mは、以下の式で求められます。

M=P×LRM = \frac{P \times L}{R}
P:L:R:(P: 現在価格、L: ロット数、R: レバレッジ)

レバレッジが高いほど、少ない証拠金で大きなポジションを持ててしまいます。 これは、わずかな値動きで多額の利益を得られる反面、 逆に動いた際、一瞬で証拠金維持率がロスカットラインを下回ることを意味します。 国内FXでは強制決済までにある程度の余裕がありますが、 海外FXの自動売買では「気づいた時には残高ゼロ」という事態が起こりやすいのです。

参照元:一般社団法人金融先物取引業協会:FX取引のリスク

追証の有無が運用の大胆さを変える

国内FXには「追証(追加証拠金)」があり、証拠金以上のマイナスが発生すると借金になります。 一方、海外FXはゼロカットシステムがあるため、借金のリスクはありません。 この「最悪でも入金額を失うだけ」というルールが、 逆説的に「全額を賭けるような無謀な設定」を誘発し、破綻率を高めています。

約定方式の不透明性

海外FXの多くは「NDD(ノン・ディーリング・デスク)方式」を謳っていますが、 実際には業者が注文を操作できる「DD(ディーリング・デスク)方式」のような挙動をする業者も存在します。 EAが利益を出し始めると、意図的にスリッページ(注文価格のズレ)を発生させ、 パフォーマンスを低下させるケースもゼロではありません。

ハイレバレッジEAが破綻しやすい仕組み

ハイレバレッジを活用したEAは、見た目の収益曲線が非常に美しい(右肩上がり)ことが多いです。 なぜなら、小さな利益を積み重ねる「スキャルピング」を得意としているからです。 しかし、このタイプのEAには「コツコツドカン」という致命的な欠陥が潜んでいます。

ハイレバレッジ運用では、保有するポジションに対して口座残高が非常にタイトになります。 例えば、レバレッジ$1000$倍で最大ロットを張っている場合、 価格がわずか数pips逆行しただけで含み損が口座残高の大部分を占めることになります。

通常、相場にはノイズ(一時的な逆行)が付き物ですが、 ハイレバレッジEAはこのノイズに耐えるだけの「体力(余剰証拠金)」がありません。 結果として、トレードの勝率は9割を超えていても、 残りの1割の負けでこれまでの利益と原資をすべて吹き飛ばす構成になっているのです。

証拠金維持率の急落

ハイレバレッジ設定では、1ロット持つために必要な資金が極めて少なくなります。 しかし、相場が予想と反対に動いた時、証拠金維持率が500%から20%(ロスカット水準)まで 下落する時間は、わずか数秒ということもあります。 これが、海外FXのEA運用が「気づいたらゼロ」と言われる技術的な理由です。

ボーナスに依存した無理な設定

海外FX業者が提供する「入金ボーナス」は、証拠金を底上げしてくれます。 しかし、多くのユーザーはこのボーナス分まで「自分のお金」として計算し、 本来の現金残高では耐えられないような巨大なロットを設定してしまいます。 ボーナスが消滅する条件(出金時など)を理解していないことも、破綻への引き金となります。

ナンピン・マーチンEAが特に危険と言われる理由

自動売買の世界で最も「溶けやすい」とされるのが、ナンピン・マーチンゲール方式のEAです。 ナンピンとは、価格が下がった(含み損が出た)時にさらに買い増す手法で、 マーチンゲールとは、その買い増すロット数を$2$倍、$4$倍と増やしていく手法です。

この手法の恐ろしい点は、計算上の利益確定ポイント(平均取得単価)が下がるため、 少しの反発でプラス決済できるという「勝ちやすさ」にあります。 しかし、相場が反発せずに一直線にトレンドを形成した場合、ロット数は指数関数的に増大します。

ロット数 $L_n$ の推移を式で表すと以下のようになります。

Ln=L0×2(n1)L_n = L_0 \times 2^{(n-1)}
(L0:n:(L_0: 初回ロット、n: ナンピン回数)

わずか10回目のナンピンで、ロット数は初回の$512$倍に膨れ上がります。 海外FXのハイレバレッジであっても、これだけの膨大なポジションを維持することは不可能であり、 最終的には証拠金不足による一括ロスカットという結末を迎えます。

「破綻」か「爆益」かの二択

ナンピン・マーチンEAは、緩やかなレンジ相場では最強の利益率を誇ります。 しかし、数年に一度の「ショック相場(コロナショックやロシア・ウクライナ情勢など)」では、 一方向への強いトレンドが発生するため、$100%$の確率で破綻します。 この「いつか必ず死ぬ運命」にあるロジックであることを理解しなければなりません。

利益の全損リスク

この手法で月利$20%$を半年間続けても、7ヶ月目に一度の破綻が起きれば、 半年間で積み上げた利益と初期の原資すべてを失います。 数学的に見れば、期待値がマイナスになるケースがほとんどであり、 長期的な資産形成には極めて不向きな手法と言えます。

バックテストとリアル運用が一致しない落とし穴

EAを選ぶ際、多くの人が「バックテスト(過去のデータでの検証結果)」を参考にします。 しかし、バックテストで数年間無敗だったEAが、 リアル口座で運用を始めた途端に負け始めることは珍しくありません。

その理由の一つが「スプレッド(手数料)」の差です。 バックテストでは固定のスプレッドで計算されることが多いですが、 実際の相場、特に海外FXでは市場の流動性に応じてスプレッドが大きく拡大します。 早朝や指標発表時、スプレッドが数pips広がるだけで、 本来利確できていたはずのトレードが損切りに変わってしまうのです。

もう一つの理由は「カーブフィッティング(過剰最適化)」です。 開発者が過去の特定の相場データに対して、最も利益が出るようにパラメーターを調整しすぎている場合、 未知の相場(リアル運用)に対しては全く通用しなくなります。

参照元:MetaQuotes:MetaTrader 5でのバックテストの仕組み

ヒストリカルデータの信頼性

バックテストに使用する過去の価格データ(ヒストリカルデータ)の精度が低いと、 実際には起きていない価格での約定が記録され、非現実的な収益グラフが作成されます。 「モデリング品質」が90%以下のバックテスト結果は、全く信用に値しません。

スリッページの無視

実際のトレードでは、注文を出してから約定するまでにわずかなタイムラグが発生し、 不利な価格で約定することがあります(スリッページ)。 バックテストではこの物理的なロスが計算に含まれないことが多いため、 1回あたりの利益が小さいスキャルピングEAほど、リアル運用で勝てなくなります。

EA任せで裁量を放棄すると失敗しやすい理由

「完全放置で稼げる」という言葉は、非常に魅力的な響きを持っています。 しかし、FX市場は人間が動かしているものであり、 突発的な戦争、災害、要人発言、経済構造の変化など、 過去のデータに基づいたプログラミングだけでは予測不可能な事象が頻発します。

自動売買で勝ち続けているプロは、EAを「自分の分身」として使いつつも、 「相場の地合い」を常に観察しています。 例えば、レンジ相場を得意とするEAを運用している時に、 強力なトレンドが発生する兆候があれば、一時的に稼働を停止する判断を下します。

これを「裁量(判断)の介入」と呼びます。 EAのロジックに任せきりにし、相場の状況を一切見ようとしない姿勢は、 ブレーキのない車で高速道路を走るようなものです。 システムの特徴を理解し、必要に応じて人間が介入することが、口座を守る唯一の手段と言えます。

市場の構造変化への無対応

かつて通用していたロジックが、ある日突然通用しなくなることがあります。 例えば、リーマンショック以前と以後では、市場の流動性や値動きのアルゴリズムが激変しました。 プログラムは「未来の構造変化」を学習できないため、 現在の市場環境に適応しているかどうかを判断するのは、常に人間の役割です。

リスクシナリオの想定不足

「もしEAが想定外の損失を出したらどうするか」というシナリオを事前に持っていない人は、 実際に損が出た時にパニックになり、誤った操作(無理な追加入金など)をして被害を拡大させます。 システムはあくまでツールであり、運用責任者はあなた自身であるという認識が不可欠です。

EAで口座を溶かさないために必ず確認すべきチェックポイント

海外FXの自動売買で失敗しないためには、「攻撃力(利益)」よりも「防御力(資金管理)」に焦点を当てる必要があります。 多くの人が「いくら稼げるか」を真っ先に考えますが、 生き残るトレーダーは常に「最悪の場合、いくら失うか」を計算しています。 このセクションでは、あなたの口座を守るための具体的な選定基準と運用ルールを解説します。


【以下で分かること】

  • 信頼できるEAを客観的数値で見極める基準
  • ドローダウンから逆算する「破綻しないロット」の算出法
  • 通信トラブルを回避するVPSの必須スペック
  • デモ検証で必ずチェックすべき「隠れた弱点」

海外FXの自動売買で安全なEAを見極める基準

安全なEAを見極める第一歩は、公開されている実績の「透明性」を確認することです。 画像データは簡単に加工できるため、Myfxbookのような 第三者機関によって認証されたリアルタイムの実績公開サイトを確認するのが定石です。

チェックすべき重要指標は以下の3点です。

  1. プロフィットファクター (PF)
    総利益を総損失で割った値です。$1.2$〜$1.5$程度が健全とされ、 $2.0$を超えるような高すぎる数値は、カーブフィッティングの疑いがあります。
  2. 最大ドローダウン
    資産が一時的にどれだけ減ったかを示す割合です。 これが$20%$を超えているものは、リスクが高すぎると判断すべきです。
  3. リカバリーファクター (RF)
    純利益を最大ドローダウン額で割った数値です。 これが高いほど、効率よく利益を出している証拠となります。

稼働期間の重要性

最低でも「1年以上」のフォワードテスト(リアルタイム実績)があるか確認してください。 数ヶ月の爆益は「運」で説明がつきますが、1年間の相場(春夏秋冬、イベント)を 生き残っているEAは、ロジックに一定の優位性があると考えられます。

トレード頻度と期待値

1日に何十回も取引するEAは、一見賑やかで楽しいですが、 スプレッド負けしやすく、手数料だけで資産が削られるリスクがあります。 逆に月数回しか取引しないEAは、統計的な優位性を確認するのに時間がかかります。 自分の性格と、EAの取引頻度が合致しているかを確認しましょう。

ロット設定と最大ドローダウンの正しい考え方

FXにおける資金管理の鉄則に「2%ルール」というものがあります。 これは、1回のトレード(または一連のポジション)で失う金額を、 全証拠金の2%以内に抑えるという考え方です。 自動売買の場合、EAの性質に合わせてこの数値を調整する必要があります。

最大ドローダウンを基準にしたロット計算式は以下の通りです。

=×(pips)×1pip許許容ロット = \frac{有効証拠金 \times 許容損失率}{過去の最大ドローダウン(pips) \times 1pipあたりの価値}

例えば、証拠金100万円で、最大ドローダウンを10%に抑えたい場合、 過去のデータで500pipsの逆行があったのであれば、 その500pipsで10万円の損失に収まるようなロット数に設定しなければなりません。 多くの初心者は、利益を最大化しようとしてこの逆の計算、 つまり「目標利益から逆算したロット」を設定してしまうため、破綻するのです。

余裕を持った証拠金維持率

EAを稼働させる際は、証拠金維持率を常に1000%以上に保つ設定が推奨されます。 維持率が500%を切るようなロット設定は、急なボラティリティ増加で すぐにロスカットラインに到達する危険性があるため、非常にハイリスクです。

ドローダウンの「最大値」は更新される

過去の最大ドローダウンが10%だったとしても、未来には20%が来る可能性があります。 資金管理を行う際は、過去の最大ドローダウンの「1.5倍〜2倍」のダメージが 来ても耐えられるように設定するのがプロのやり方です。

複数EA運用が逆にリスクを高めるケース

リスク分散のために「ポートフォリオ運用(複数のEAを同時に動かす)」が推奨されることがあります。 しかし、やり方を間違えるとリスクを倍増させる結果になります。 問題となるのは「通貨ペアの相関関係」と「ロジックの重複」です。

例えば、USD/JPY(ドル円)で買いを仕掛けるEAと、 EUR/JPY(ユーロ円)で買いを仕掛けるEAを同時に動かしたとします。 円高(円買い)が急激に進んだ場合、両方のEAが同時に大きな含み損を抱えることになります。 これは分散投資ではなく、単にリスクを2倍にしているだけです。理想的なポートフォリオは、

  • 異なる通貨ペア(例:ドル円とユーロドル)
  • 異なるロジック(例:トレンドフォロー型と逆張り型)

異なる時間足 を組み合わせることです。 これにより、一つのEAが苦手な相場でも、別のEAが利益を出す、あるいは損失を抑えることが可能になります。

証拠金の共食い現象

複数のEAを一つの口座で動かすと、すべてのEAのポジションが証拠金を共有します。 EA Aが含み損に耐えている時に、EA Bが大きなロットでエントリーしてしまうと、 本来耐えられたはずのEA Aが、EA Bのせいで強制ロスカットされることがあります。 これを防ぐには、EAごとに口座を分けるか、極めて保守的なロット設定が必要です。

管理コストの増大

EAを増やせば増やすほど、それぞれのロジックや指標への対応を把握するのが困難になります。 「自分が管理しきれない数」のEAを動かすのは、もはや自動売買ではなく「放置された博打」です。 まずは2〜3つの、ロジックが明確に異なるEAから始めるのが無難です。

VPS環境と回線トラブルがEAに与える影響

EAはMT4/MT5といったプラットフォーム上で動作しますが、 自分のパソコンで動かし続けるのはリスクが非常に高いです。 停電、Windowsの自動アップデート、PCのフリーズ、家庭用Wi-Fiの瞬断。 これらのトラブルが発生した瞬間に、EAは「盲目」の状態になります。

もし大きなポジションを持っている最中にネットが切断され、 EAが損切り命令を出せなくなったらどうなるでしょうか。 相場が逆行し続けても決済が行われず、ゼロカットまで放置されることになります。

これを防ぐためには、24時間365日安定して稼働する「VPS(仮想専用サーバー)」の利用が必須です。 海外FX業者のサーバーに近い場所にあるVPSを選ぶことで、 通信の遅延(レイテンシ)を抑え、注文の滑り(スリッページ)を最小限に抑えることもできます。

参照元:総務省:電気通信サービスの品質向上に関する取り組み

メモリ不足によるMT4の停止

安いVPSを契約し、多くのEAを同時に動かすと、メモリ不足でMT4がフリーズすることがあります。 画面上では動いているように見えても、内部でプログラムが止まっている「ゾンビ状態」は、 回線切れと同じくらい危険です。スペックには余裕を持たせましょう。

サーバーメンテナンスの把握

VPS業者やFX業者も定期的にメンテナンスを行います。 週末に行われることが多いですが、稀に平日の取引時間に重なることもあります。 業者からの通知メールは必ず読み、稼働に影響がないか確認する習慣をつけましょう。

デモ口座とリアル口座で必ず検証すべき項目

良さそうなEAを見つけても、いきなりリアル口座で大金を投じるのはやめましょう。 まずはデモ口座、あるいは最小ロットで運用できる「マイクロ口座」で最低でも1ヶ月はテスト稼働させるべきです。 このテスト期間中に確認すべきは、利益が出るかどうかだけではありません。

具体的には以下のポイントをチェックします。

  • 約定力: 指定した価格で正しく注文・決済が行われているか。
  • スプレッド耐性: 早朝のスプレッド拡大時に無駄な損切りをしていないか。
  • 挙動の確認: バックテストで見た動きと同じロジックで動いているか。
  • エラーログ: MT4の「操作履歴」や「エキスパート」タブにエラーが出ていないか。

デモ口座は理想的な環境で動くため、リアル口座よりも成績が良くなる傾向があります。 デモで勝てないEAは、リアルでは間違いなく負けます。 この「試用期間」を惜しむことが、後の大きな損失につながります。

スリッページの発生頻度

リアル口座では、デモ口座では発生しない「滑り」が起きます。 特に指標時や早朝など、流動性が低い時間帯にEAがどのように約定するかを、 少額のリアル口座(マイクロ口座)で確認するのは、非常に価値のある検証です。

精神的なストレスの確認

デモ口座では平気でも、自分のお金が動くリアル口座では、 EAの含み損を見た時に心臓がバクバクし、夜も眠れなくなることがあります。 そのEAが自分の「メンタル的リスク許容度」に合っているかを確認するのも、 重要な検証項目の一つです。

EAを止める判断が遅れると致命傷になる理由

自動売買において、最も勇気がいる決断は「EAの停止」です。 特にナンピン系EAなどで含み損が膨らんでいる時、 「ここで止めれば損失が確定してしまう。もう少し待てば戻るはずだ」 という心理(プロスペクト理論)が働きます。

しかし、EAの設計思想から外れた異常な相場状況において、 「祈り」は最も危険な戦略です。 あらかじめ「証拠金の◯%を失ったら停止する」「この経済指標の前には必ず切る」 といった「出口戦略」を明確に決めておかなければなりません。

プロのトレーダーは、負けを認めるのが非常に早いです。 「今回の相場はEAに合わなかった」と割り切り、 致命傷を負う前に残った資金を守ることで、次のチャンスに繋げることができます。 口座を溶かす人の多くは、最後の$1$円までマーケットに委ねてしまうのです。

停止ルールの事前言語化

「損が出たら考える」では遅すぎます。

  • 最大ドローダウンが過去記録を更新した時
  • 設定した有効証拠金が◯割減った時
  • EAの開発者からのアップデートが止まった時

など、停止する条件をノートに書き出し、それを「聖典」として守りましょう。

外部要因による強制停止

たとえEAが好調でも、FX業者側で「不穏な動き(出金拒否の噂など)」が出た場合は、 即座にEAを止め、資金を引き上げる判断が必要です。 自動売買は「プラットフォームが健全であること」が大前提の投資です。

海外FX 自動売買が怖いと感じた人向けの最終チェックリスト【まとめ】

自動売買は正しく使えば強力な武器になりますが、 無知なまま扱うと自分を傷つける刃になります。 本記事で解説した内容を振り返り、運用を開始する前、あるいは現在の運用を見直すために、 以下のチェックリストを必ず確認してください。

【まとめ】

  • Myfxbook等で第三者認証された1年以上の長期実績があるか
  • EAのロジックと苦手な相場を自分の言葉で1分以内に説明できるか
  • 推奨証拠金に対し、想定ドローダウンの2倍以上の資金で運用しているか
  • 1トレードの損失が全証拠金の2%以内に収まるロット設定になっているか
  • 経済指標カレンダーを毎朝チェックし、危険な時間帯は停止させているか
  • 家庭用PCではなく、FX専用のVPSを契約して安定稼働させているか
  • デモ口座またはマイクロ口座で最低1ヶ月はエラーなしで稼働したか
  • 「全決済して逃げる」ための損失額(損切りライン)を明確に決めているか
  • 利益が出たらこまめに出金し、原資の回収を最優先事項にしているか
  • 「月利50%」といった非現実的な誇大広告を無視できる冷静さがあるか

自動売買の世界で生き残るコツは、「勝ちすぎようとしないこと」です。 年間を通して資産を数%ずつでも着実に増やしていく。 その地味で着実な歩みこそが、10年後に大きな資産を築く最短ルートになります。 この記事が、あなたの海外FX運用における「守りの盾」となることを願っています。

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