海外FXでスプレッドが急に広がる理由完全ガイド:時間帯・指標発表・通貨ペアごとの注意点と対策

海外FX基礎知識

海外FXでトレードをしていると、誰もが一度は「なぜこんなにスプレッドが広がるのか」と疑問に、あるいは憤りを感じたことがあるはずです。絶好のチャンスだと思ってエントリーボタンを押そうとした瞬間にコストが跳ね上がり躊躇してしまったり、利益確定や損切りの決済をしようとしたら、想定よりも遥かに不利な価格で約定してしまったりすることは、決して偶然ではありません。

この記事では、海外FX特有のスプレッド変動のメカニズムを、市場の裏側にある銀行間取引の仕組みや、リクイディティプロバイダー(流動性提供者)の動向から紐解いていきます。なぜ早朝や指標発表時にコストが増大するのか、その根本的な理由を論理的に理解することで、無駄な損失を回避し、手元に残る利益を最大化するためのトレード戦略が見えてくるはずです。長年の執筆経験とトレード経験をもとに、教科書的な説明だけでなく、実践の現場で本当に役立つ知識を共有します。


【この記事で分かること】

  • 市場の裏側で起きているスプレッド変動のメカニズム
  • 国内FXと海外FXでスプレッドの仕組みが違う理由
  • 早朝や指標発表時にコストが急増する原因と回避策
  • 通貨ペアごとのリスク管理と無駄な損失を防ぐコツ

海外FXでスプレッドが広がる仕組みと基本的な考え方

「スプレッドが広がる=悪」と決めつけていませんか?実は、海外FXにおいてスプレッドの変動は、市場が健全に機能している証拠でもあります。 多くのトレーダーが「なんとなく」で理解しているスプレッドですが、その仕組みを正しく知ることで、無駄なコストを削減し、トレードの質を劇的に向上させることが可能です。

本章では、スプレッドの基本的な定義から、なぜ国内FXと違って変動するのか、そして「急拡大」が起きる市場の裏側までを徹底解剖します。初心者の方が陥りやすい誤解や、NDD方式ならではの透明性についても詳しく解説していきますので、まずはここから海外FXの常識をアップデートしていきましょう。

海外FXにおけるスプレッドとは?初心者でも分かる基礎知識

FX取引において「スプレッド」とは、通貨を買うときの価格(Ask/アスク)と売るときの価格(Bid/ビッド)の差額のことを指します。例えば、あなたが海外旅行に行く際、空港の両替所で日本円を米ドルに替えるレートと、帰国して米ドルを日本円に戻すレートが違うのと同じ理屈です。この差額はトレーダーにとっては実質的な「取引手数料」となり、FX業者にとっては主要な利益源(および運営コストのカバー)となります。

具体的に見てみましょう。米ドル/円の買値が150.005円、売値が150.000円だった場合、その差額である0.5銭(0.5pips)がスプレッドとなります。海外FXでは1ロット(10万通貨)での取引が一般的ですが、仮に0.5pipsのスプレッドで1ロット取引した場合、エントリーした瞬間に約500円の含み損からスタートすることになります。これが2.0pipsに広がれば、スタート地点でのマイナスは2,000円になります。

しかし、海外FXにおけるスプレッドは単なる手数料以上の重要な意味を持っています。それは「市場の流動性(Liquidity)」を示すリアルタイムのバロメーターでもあります。スプレッドが狭いときは、市場に参加者が多く取引が活発であり、「買いたい人」と「売りたい人」が密集していることを示します。逆にスプレッドが広いときは、参加者が少なく、取引相手が見つかりにくい「過疎」の状態であることを示唆しています。

多くの初心者が誤解しているのは、スプレッドは業者が勝手に決めている固定の手数料だという点です。確かに業者の利益分(マークアップ)も上乗せされていますが、ベースとなっているのはインターバンク市場(銀行間市場)での提示レートです。世界中の金融機関が提示するレートの中で、最も有利な買値と売値の差がスプレッドの基準となります。つまり、スプレッドの変動を見ることは、世界経済の脈動を直接感じることと同義なのです。

スプレッドが「急に広がる」と感じる理由とは

トレード中にスプレッドが急激に拡大したように感じる瞬間があります。これは、市場に存在する注文(オーダー)のバランスが崩れ、一時的な「真空地帯」が生まれたときに発生します。

通常、市場には「売りたい人」と「買いたい人」が無数に存在し、それぞれの希望価格が細かく並んでいます。これを「板(オーダーブック)」と呼びます。しかし、何らかの理由(突発的なニュースや大口の決済など)で片方の注文が極端に少なくなると、現在価格のすぐ近くにある注文がすべて約定してしまい、次に約定できる価格までの距離が物理的に遠くなります。

例えば、あるポジティブなニュースが出て全員が「今すぐ買いたい」と思ったとします。すると、現在価格付近にあった「売り注文」は一瞬で食い尽くされます。次に残っている売り注文は、現在価格よりもずっと高い価格にしか置いてありません。この「直近の約定価格」と「次に約定可能な価格」の乖離こそが、スプレッドが急に開いたように見える正体です。

また、我々が見ているMT4やMT5のチャートは、あくまでその時点での「提示レート」を点描したものです。急激な価格変動時には、システムが描画する速度よりも速くレートが飛ぶことがあります。これをトレーダー用語で「プライスが飛ぶ」と表現することもありますが、視覚的にはスプレッドが一気に広がったように映ります。これはシステムのバグではなく、市場の流動性が枯渇した瞬間の正直な姿なのです。

国内FXと海外FXでスプレッドの考え方が違う理由

国内FX業者の多くは「原則固定スプレッド」を謳っていますが、海外FX業者の多くは「変動スプレッド」を採用しています。この違いは、採用している注文方式(ビジネスモデル)の違いに起因します。

国内業者の多くはDD(ディーリング・デスク)方式、別名OTC(相対取引)方式を採用しています。この方式では、トレーダーの注文を一度業者が呑みます。つまり、トレーダーの損失が業者の利益になり得る構造です。業者はインターバンク市場のレートを参考にしつつも、自社内でレートを生成・管理できるため、マーケティング戦略として「スプレッド固定」を提示することが可能です。

一方、海外FX業者の主流はNDD(ノン・ディーリング・デスク)方式です。これはトレーダーの注文を、業者のディーラーが操作することなく、直接インターバンク市場やリクイディティプロバイダー(LP)に流す方式です。市場の生のレートに手数料を乗せて提示するため、市場の変動に合わせてスプレッドも常に変動します。

以下の表に、両者の決定的な違いをまとめました。

特徴国内FX(DD方式)海外FX(NDD方式)
スプレッドの性質原則固定(人工的に作られたレート)変動制(市場の実勢レートに準拠)
透明性不透明(業者の操作介入余地あり)透明性が高い(市場価格をそのまま反映)
利益相反あり(顧客の負け=業者の利益になりやすい)なし(顧客の取引手数料が業者の利益)
約定力注文が殺到するとリクオート(約定拒否)が起きやすい約定力が高い(スリッページはあるが約定する)
コスト構造見かけのスプレッドは狭いが、約定拒否などの隠れコストリスクスプレッドは広めだが、約定の確実性が高い

海外FXのスプレッドが広がりやすいのは、より透明性が高く、実際の市場環境をリアルタイムに反映している証拠でもあります。国内業者の固定スプレッドは魅力的ですが、市場が荒れた際には「スプレッドは固定だが注文が通らない(約定拒否)」「指定したレートと大きく離れた価格で約定する(不利なスリッページ)」が頻発し、結果としてスプレッド以上のコストを支払うことになるケースも少なくありません。

参照元:一般社団法人 金融先物取引業協会(FX取引の仕組み)

変動スプレッドと固定スプレッドの違い

変動スプレッドは、市場の「需要と供給」によってリアルタイムに決まります。世界中の銀行や機関投資家が取引を行うインターバンク市場では、常にレートが動き続けており、1秒たりとも固定されている瞬間などありません。海外FX業者が提供する変動スプレッドは、この市場の動きを「ありのまま」トレーダーに提供する形をとっています。

一方、固定スプレッドは、あくまで業者が「通常時はこの幅で提供します」と約束しているサービスの一環に過ぎません。これは保険会社がリスクを計算して保険料を決めるのに似ており、業者は通常時の変動幅をカバーできる範囲でスプレッドを設定しています。

しかし、東日本大震災やスイスフランショック、コロナショックのような未曾有の相場変動時には、国内業者であってもスプレッドを維持できず、大幅に拡大させることがあります。実際にスイスフランショックの際には、普段0.3銭などで提供していたスプレッドが数円(数百pips)単位まで拡大し、多くのトレーダーが逃げられないままロスカットされました。つまり、「完全な固定」などは金融の世界には存在しないのです。

変動スプレッドのメリットは、相場が落ち着いているときには非常に狭いスプレッドで取引できる可能性がある点と、何より約定の透明性です。逆にデメリットは、今回解説しているように、早朝や指標発表時にコストが予測しづらくなる点です。プロのトレーダーの多くが変動スプレッドを好むのは、見かけの安さよりも「約定の確実性」と「透明性」を重視しているからです。

スプレッド拡大は異常?それとも正常な動き?

初心者のうちは、スプレッドが急に拡大すると「業者に不正操作されたのではないか」「システムエラーではないか」と疑心暗鬼になりがちです。特に含み益が出ていたポジションが、スプレッド拡大によって一瞬で含み損に変わった時のストレスは計り知れません。

しかし、変動スプレッド制を採用している海外FXにおいて、スプレッドの拡大は極めて正常な市場反応です。むしろ、相場が激変しているのにスプレッドが全く変わらないことの方が、不自然でありリスクが高いと言えます。それは、誰かが無理をして価格を維持している状態だからです。

市場参加者が減れば、売り手と買い手のマッチングが難しくなります。流動性が低下すれば、提示されるレートの差が開くのは経済の原則です。例えば、深夜のコンビニエンスストアで商品が品切れしていても、すぐに補充されないのと似ています。物流(流動性)が止まっている時間帯には、適正な価格での提供が難しくなるのです。

したがって、スプレッドの拡大を「異常事態」や「業者の悪意」と捉えるのではなく、「現在は取引を控えるべきだという市場からの危険信号」と捉えることが重要です。チャートが荒れているときやスプレッドが広いときは、無理にエントリーせず、静観することがプロの鉄則です。

スプレッドが広がる=損とは限らない理由

「スプレッドが広がる=トレーダーにとって不利」と考えるのが一般的ですが、必ずしもそうとは限りません。スプレッドが広がるということは、それだけ価格変動(ボラティリティ)が大きくなっている局面であることが多いからです。

リスク許容度の高いトレーダーにとっては、スプレッド拡大は大きな利益を狙えるチャンスの前触れでもあります。ボラティリティが高まる局面では、数分で数十pips、時には100pips以上動くことも珍しくありません。この値幅の前では、数pipsのスプレッド拡大は「必要経費」として許容できる範囲になります。

また、スプレッドが広がることを許容しているNDD方式の業者は、どんな相場状況でも「約定させる」ことを優先しています。これに対し、スプレッドを無理に固定しようとする業者は、相場急変時にリスクを避けるために注文自体を受け付けない(約定拒否)ことがあります。

重要なトレードチャンスで注文が通らないことによる機会損失は、多少のスプレッドコストよりも遥かに大きな痛手となります。 「注文が確実に通るなら、多少の手数料(スプレッド拡大)は、戦場に出るための保険料として支払う価値がある」 このように考えることができれば、スプレッド拡大に対するストレスは大幅に軽減されるはずです。もちろん、無駄なコストは避けるべきですが、コストの本質を見誤らないようにしましょう。

海外FX初心者が誤解しやすいスプレッドの落とし穴

多くのブログやSNSでは「スプレッド狩り」や「ストップ狩り」という言葉が飛び交っています。これは、業者が故意にレートを操作して、トレーダーのストップロス(損切り注文)を意図的に発動させる行為を指すとされています。確かに、金融ライセンスを持たないような悪質なB-Book(完全呑み業者)の中には、そういった行為を行うところが絶対に存在しないとは言い切れません。

しかし、信頼できるライセンス(FCA、ASIC、CySECなど)を持った大手海外FX業者において、特定の個人を狙った意図的なストップ狩りはまず行われません。なぜなら、NDD方式の業者はトレーダーが取引を続ければ続けるほど手数料収入が入るため、トレーダーを負けさせて退場させるメリットがないからです。

私たちが「狩られた」と感じる現象の多くは、単に流動性の低下による自然なスプレッド拡大に巻き込まれただけです。特に、早朝などの流動性が低い時間帯には、Bid(売値)とAsk(買値)が大きく乖離します。チャート上のローソク足(通常はBidで描画)はストップラインに達していないのに、Askレートが広がったことで買い決済(損切り)が発動してしまうのです。

特に、ギリギリの証拠金維持率でハイレバレッジトレードを行っている場合、わずかなスプレッドの拡大で有効証拠金が減少し、ロスカット水準に達してしまうことがあります。これは業者のせいではなく、資金管理とエントリータイミングの問題です。「スプレッドは広がるもの」という前提で、ストップロスの位置には余裕を持たせること。これが初心者が最初に学ぶべきリスク管理の一つです。

参照元:Bloomberg.co.jp(マーケットニュース)

海外FXでスプレッドが急拡大する具体的な原因と対策

「スプレッドが広がる理屈は分かった。では、具体的にいつ、どのような状況で警戒すべきなのか?」 ここからは、理論を実践へと落とし込み、あなたの資金を脅かす「具体的なリスク要因」を一つずつ潰していきます。スプレッドが牙を剥くタイミングには、明確なパターンが存在します。「魔の時間帯」と呼ばれる早朝の静寂、世界中の視線が注がれる経済指標発表時の乱高下、そして流動性が枯渇したマイナー通貨の罠。

本章では、これらの危険地帯を安全に通過するための具体的な回避術と、プロトレーダーが実践しているリスク管理手法を解説します。これらは単なる知識ではなく、相場の世界で生き残るための必須の「護身術」です。無防備に飛び込んで怪我をする前に、ここで装備を整えましょう。


【以下で分かること】

  • 早朝の「魔の時間帯」に起きるスプレッド急拡大の原因
  • 指標発表時や要人発言時の市場の動きとスプレッド
  • 通貨ペア別の流動性リスクと具体的な回避方法
  • 予期せぬスプレッド拡大から資産を守る実践テクニック

時間帯によってスプレッドが広がる理由(早朝・週明け)

FX市場は24時間眠らないと言われますが、実際には取引参加者が極端に減る「空白の時間」が存在します。それが日本時間の早朝、特にニューヨーク市場が閉まり、オセアニア(ウェリントン・シドニー)市場が開くまでの時間帯です。夏時間(サマータイム)では朝5時〜6時、冬時間では朝6時〜7時頃にあたります。

この時間帯は、世界中の主要な銀行のディーラーが帰宅し、次の市場のディーラーが出勤してくるまでの狭間です。市場参加者が激減するため、流動性が極端に低下します。流動性が低いと、少額の注文でも価格が大きく動いてしまうリスクがあるため、銀行などのリクイディティプロバイダーはリスク回避のためにスプレッドを広く提示します。

さらに、この時間帯は「ロールオーバー」と呼ばれる処理が行われる時間でもあります。日付変更に伴うスワップポイントの計算や、銀行間でのポジション調整が行われるため、システム的にもスプレッドが広がりやすい仕様になっています。普段は1〜2pips程度のスプレッドが、この時間帯だけは10pips以上に拡大することも珍しくありません。

特に「月曜日の早朝」は最大の警戒が必要です。週末(土日)に世界で何らかの大きなニュース(選挙結果、戦争の勃発、大規模災害など)があった場合、その情報が一気に月曜の朝のレートに反映されます。これにより、金曜日の終値と月曜日の始値が大きく乖離する「窓開け」が発生しやすく、スプレッドも異常なほど拡大します。

早朝のスプレッド拡大対策

この時間帯にポジションを持ち越さないこと、そして新規エントリーを避けることが唯一かつ最強の対策です。スイングトレードで持ち越す場合は、スプレッドが10pips〜20pips以上開くことも想定して、損切りラインを現在価格から十分に離しておく、あるいは証拠金維持率に十分な余裕を持たせておく必要があります。

経済指標発表時にスプレッドが拡大する仕組み

米国の雇用統計や消費者物価指数(CPI)、GDP(国内総生産)などの重要指標が発表される前後には、スプレッドが急激に拡大します。これは、発表される結果によって相場が上に行くのか下に行くのか予測がつかないため、リクイディティプロバイダー(LP)が防衛本能を働かせるからです。

LPにとって、指標発表時は「毒を含んだ注文(Toxic Flow)」が飛んでくる可能性が高い危険な時間帯です。市場の予想と違う結果が出た瞬間、アルゴリズムが一斉に反応して価格を動かします。もしLPが狭いスプレッドを提示し続けていれば、瞬時に市場価格とかけ離れたレートで約定させられ、巨額の損失を被る可能性があります。

そのため、指標発表の直前、多くのLPは既存の注文を取り消します(オーダーキャンセル)。これにより注文板(板情報)がスカスカの状態(薄い板)になります。この状態で指標が発表されると、一方向への注文が殺到し、価格が一気に飛びます。FX業者のシステムは、最良のレートを提示しようと努力しますが、レートの更新頻度があまりに速く、かつ売買の価格差が大きいため、結果としてスプレッドが大きく開いて表示されます。

指標発表時の最大のリスクは、スプレッド拡大と同時に「スリッページ」も併発することです。画面上ではスプレッドが3pipsに見えていても、注文ボタンを押した瞬間に価格が滑り、実際にはもっと不利なレートで約定することが多々あります。

雇用統計・FOMCでスプレッドが異常に広がる理由

数ある経済指標の中でも、アメリカの「雇用統計(毎月第一金曜日)」と「FOMC(連邦公開市場委員会)」の政策金利発表は別格です。これらは世界の基軸通貨である米ドルの価値を決定づけるイベントであり、世界中の機関投資家、ヘッジファンド、そしてAIアルゴリズムが一斉に反応します。

なぜこれほど広がるのかというと、人間の判断スピードを超えた「アルゴリズム戦争」が勃発するからです。発表の0.001秒後にはニュースの内容を解析したAIが大量の注文を出し、そのまた0.001秒後には別のAIが反対売買を行うといった攻防が繰り広げられます。これにより、価格が上下に激しく乱高下(ウィップソー)します。

特にFOMC後のパウエル議長の記者会見中などは、発言の一言一句(タカ派かハト派か)にアルゴリズムが反応し、スプレッドが広がったり縮んだりを繰り返す「乱気流」のような状態になります。

この時にスプレッドが50pips(5銭)以上に拡大することも珍しくありません。もしハイレバレッジでポジションを持っていれば、価格そのものは逆行していなくても、スプレッドの拡大分だけで評価損が拡大し、証拠金不足に陥り強制ロスカットされる可能性があります。これをトレーダーの間では「スプレッド負け」や「スプレッド死」と呼びます。

参照元:FRB(連邦準備制度理事会)公式サイト

通貨ペア別にスプレッドが広がりやすい特徴

スプレッドの広がり方は、取引する通貨ペアによって全く異なります。基本的には「取引量(流動性)が多い通貨ペアほどスプレッドは狭く安定」しており、「取引量が少ない通貨ペアほどスプレッドは広く不安定」です。自分の取引するペアがどのカテゴリに属するかを知っておくことは必須です。


メジャー通貨ペア(USD/JPY, EUR/USD, GBP/USDなど)

世界中で最も取引されているため、流動性が潤沢です。通常時のスプレッドは非常に狭く安定していますが、有事の際や重要指標時にはやはり拡大します。ただし、回復のスピードも早いです。


クロス円(EUR/JPY, GBP/JPY, AUD/JPYなど)

日本人に人気ですが、これらは「合成通貨」です。例えばEUR/JPYは、EUR/USDとUSD/JPYのレートを掛け合わせて算出されます。そのため、ドルストレートの影響を強く受けます。特にポンド系(GBP/JPYなど)は「殺人通貨」と呼ばれるほどボラティリティが高く、スプレッドも広がりやすい傾向にあります。


マイナー通貨・エキゾチック通貨(TRY/JPY, ZAR/JPY, MXN/JPYなど

トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなどの高金利通貨は、取引参加者が極端に少ないため、平常時でもスプレッドが広いです。早朝や指標時には数百pips単位で開くこともあり、初心者には推奨できません。


貴金属(XAU/USD – ゴールド

海外FXで人気のゴールドは、ボラティリティが非常に高く、スプレッドも為替に比べて広めです。特に早朝のオセアニア時間はスプレッドが倍以上に開くことが常態化しており、寝ている間のロスカットリスクが高い銘柄です。

流動性が低い通貨ペアで起きやすいスプレッド拡大

流動性が低い通貨ペア(エキゾチック通貨ペア)は、スプレッドのリスクが桁違いです。例えば、トルコリラ/円などは、トルコの政治情勢に関するニュース一つで、スプレッドが数円単位(数千pips)で開く事例も過去にありました。

流動性が低いということは、「売りたいときに買ってくれる人がいない」、あるいは「買いたいときに売ってくれる人がいない」状態になりやすいことを意味します。FX業者はこのリスク(流動性枯渇リスク)をカバーするために、あらかじめ非常に広いスプレッドを設定し、さらに変動幅も大きく取ります。

また、早朝の時間帯には、ほとんど取引が成立しないため、チャートのローソク足が動いていないように見えても、BidとAskの差(スプレッド)だけが異常に開いているという現象が起きます。 スワップポイント狙いでこれらの通貨を保有する場合でも、レバレッジを低く抑えておかなければ、早朝の数分間のスプレッド拡大だけでロスカットされ、全資金を失うリスクがあることを肝に銘じてください。「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる瞬時の大暴落も、こうした流動性の低い時間帯や通貨ペアで発生しやすい傾向があります。

海外FX業者ごとのスプレッド差と注意点

「A社ではスプレッドが広がっていないのに、B社では大きく広がっている」という現象が起こることがあります。これは、各FX業者が契約しているリクイディティプロバイダー(LP)の数と質、そしてアグリゲーション(価格集約)技術の違いによるものです。

大手で資金力のある優良FX業者は、10社以上のトップティア銀行(JPモルガン、UBS、バークレイズなど)やノンバンクLPと契約し、常にその中から最も有利なレートを自動選択して提示できる体制を整えています。これにより、ある1社のLPがスプレッドを広げても、他のLPのレートを採用することで拡大を抑えることができます。

一方、小規模な業者は契約しているLPが少なく、そのLPがレート配信を停止したりスプレッドを広げたりすると、そのままダイレクトにトレーダーへの提示レートに影響します。

また、口座タイプによる違いも重要です。

  • スタンダード口座(STP方式)
    スプレッドの中に業者の利益が含まれているため、ベースが広く、拡大時もさらに広がりやすい傾向があります。
  • ECN口座(ゼロスプレッド口座など)
    スプレッドは市場レートそのままで極めて狭いですが、別途「取引手数料」がかかります。相場急変時でも、ECN口座の方がスプレッドの拡大幅は抑えられる傾向にありますが、完全に防げるわけではありません。手数料コストを含めてトータルで判断する必要があります。

海外FXのスプレッド拡大を避ける立ち回り方【まとめ】

スプレッドの拡大は、海外FXという荒波を航海する上で避けられない「天候の変化」のようなものです。天候をコントロールすることはできませんが、天気予報を見て船を出すタイミングを選んだり、嵐に備えて装備を整えたりすることはできます。

最後に、これまでの内容を踏まえ、スプレッド拡大による不慮の事故を防ぐためのポイントをまとめます。これらを意識するだけで、「謎の負け」や「理不尽なロスカット」は劇的に減るはずです。

  • 日本時間の早朝(夏時間5時〜6時、冬時間6時〜7時)は取引を避ける
  • 月曜日の市場オープン時は、窓開けとスプレッド拡大に最大限警戒する
  • 重要経済指標(雇用統計・CPI・FOMC)の発表前後30分はポジションを持たない
  • マイナー通貨やエキゾチック通貨ペアは触らない、または低レバレッジを徹底する
  • スキャルピングは、流動性が最も高いロンドン〜ニューヨーク時間に限定する
  • 週末にポジションを持ち越さない(ギャップリスクとスプレッド拡大を回避)
  • 利用業者のサーバー時間(GMT+2/GMT+3)を把握し、ロールオーバー時間を知る
  • ECN口座など透明性の高い口座タイプを検討し、業者リスクを分散する
  • ストップロスは、通常のスプレッド+αの余裕を持たせた位置に置く
  • スプレッド拡大中に慌てて注文を出さず、落ち着くまで静観する
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